【税金トリビア】お年玉の税金 -「お年玉をもらったら税金がかかるの?」
太田尚道(おおたたかみち)税理士事務所所長の太田尚道です。
新年を祝うために贈られるお年玉。
今日は「お年玉の税金」について考えてみたいと思います。
お年玉をもらったら税金がかかるの?
磯野家、岸田家、柳井家の3家族を例に挙げて、お年玉の税金について考えてみましょう。
Q)事例
ケース1)磯野家では、お正月に孫3人にそれぞれお年玉を5千円ずつ渡している。
ケース2)岸田家では、お正月に孫3人にそれぞれお年玉を30万円ずつ渡している。
ケース3)柳井家では、お正月に孫3人にそれぞれお年玉を300万円ずつ渡している。
さて、上記の3つのケースでは、お年玉をもらった孫たちは税金を支払わなければならないのでしょうか?
A)解答
ケース1)磯野家のお年玉5千円は、社会通念上の範囲と考えられるので、課税対象にはならない。
ケース2)岸田家のお年玉30万円は、社会通念上の範囲とも考えられるし、社会通念上の範囲を超えているとも考えられる。
たとえ社会通念上の範囲を超えていると考えられても、贈与を受け取る者が1年間で110万円の範囲内で金銭を受け取る場合であれば課税されない。
お年玉を含めて年間110万円以上受け取っていなければ、岸田家のお年玉30万円は課税対象にはならない。
ケース3)柳井家のお年玉300万円は社会通念上の範囲を逸脱していると考えられるため、課税対象に該当する。
社交上に必要であり、贈る側と受け取る側の関係性を考えて、社会通念上相当と認められる金額については課税されません。
お年玉以外にも冠婚葬祭のご祝儀や香典もこれに準ずるといえるでしょう。
お年玉の税金のカテゴリー
つぎに、お年玉はどんな種類の税金に該当するのか考えてみましょう。
所得税は「個人に生じた1年間(1月1日~12月31日付)の経済的利益を課税の対象としている」ので、お年玉は所得税なのでしょうか?
しかし、所得税法9条1項16号では、相続・遺贈・個人からの贈与により取得する経済的利益を所得税の対象外としており、これらは所得税ではなく、別途、相続税や贈与税が課されます。
お年玉は「個人からの贈与」に該当するので、事例のケース3)柳井家のお年玉300万円に課せられるのは、所得税ではなく、贈与税ということになります。