『正直不動産12巻』- 書評「私のオススメ書籍」第4回
減量中につき、5キロダイエットして若干スリムになった太田尚道(おおたたかみち)税理士事務所 所長の太田尚道です。

ところで、先般、私の愛読書『正直不動産』12巻が発売されました。
12巻のテーマの中で、特に興味をひかれたトピックスは「賃貸併用住宅」です。
「賃貸併用住宅」のあらすじ
ある日、3年前に永瀬が中古戸建て物件を仲介した取引で買主だった松永が登坂不動産に怒鳴り込んできた。
その物件は3階建ての賃貸併用住宅で、うそつき営業マンだった頃の永瀬がメリットだけを強調して、あくどく売りつけたものだった。
「1階にご両親、2階に松永さまご家族が住み、3階を貸し出せば、家賃収入で月々のローンを支払うことも可能ですし、実質タダで憧れの戸建てに住むことができます」
「固定資産税、相続税といった税制面で優遇される」といったぐあいに。。。
しかし、実際には3階に賃借人が入らず、空室になってはや3ヶ月。

そして、買主・松永は購入した金額と同額で売却を希望しているという。
ところが永瀬は賃貸併用住宅は売却すること自体が難しく、いわんや購入金額での売却など不可能ですとのたまった。
というのは、賃貸併用住宅は購入希望者自体が少ないからだ。
当然、松永の怒りは頂点に達し、自分に売りつけた時のようにメリットだけを誇張して、他の顧客に売りつけろと迫る。
だが、賃貸併用住宅はそんなに簡単には売れない。
永瀬に同行していた登坂不動産の後輩社員である岩沢が、学生時代のサッカー部の先輩で現在ネットショップのオーナーである川口に売却するに至る。
めでたし、めでたし。
太田税理士のオピニオン
まず太田税理士目線でいうと、賃貸併用住宅であろうとなかろうと、不動産を購入する際の鉄則は「出口、つまり次にどれくらいの金額で、どれくらいの期間で、売却できるかを考える必要がある」ということです。
賃貸併用住宅は売却時(出口)に購入者が限られるというデメリットがあります。
なぜならば、通常、住宅を買いたい人は住宅のみを購入し、投資目的の人は投資物件を購入するのがふつうだからです。
それをセット(複合住宅)で買いたいという人はおのずから限られてきます。
ですから、こういった特殊な物件は、特別な目的がない限り、私は購入をおすすめいたしません。

それでもどうしても購入したいのであれば、確実に賃借人を確保できる物件を選ぶべきです。
たとえば立地がよいとか、みんなが住みたいなと思う物件でなければなりません。
さもないと、本ストーリーの松永のように空室リスクにさらされ、借入金の返済計画が破たんしてしまうことにもなりかねないです。