『正直不動産11巻』- 書評「私のオススメ書籍」第1回
こんにちは。太田尚道(おおた たかみち)税理士事務所 所長の太田です。
これから気まぐれに、私が読んだ本の中で、ぜひともみなさんに読んでいただきたい書籍を「私のオススメ書籍」として、独断と偏見でご紹介してまいります。
「私のオススメ書籍」の記念すべき?!第1回は、不動産漫画『正直不動産』です。
そして、今日は『正直不動産11巻』(発行所:小学館)が発売されたので、さっそく近所の書店でゲットしてきましたよ。
不動産漫画『正直不動産』シリーズのあらすじ
「正直不動産」シリーズのざっくりしたあらすじは・・・。
登坂(とさか)不動産のエース営業マンの長瀬は、口八丁手八丁で今まで順調に営業成績をあげてきた。
ところが、ある日を境にウソがつけなくなる。
そして、今までとは正反対の正直がモットーの不動産営業マンになり、営業で苦戦するようになるが、、、というお話し。
ストーリーのなかでは、ありとあらゆる不動産取引と人間模様が描かれています。
11巻のあらすじと太田税理士のオピニオン
『正直不動産 11巻』では、①「狭小住宅」、②「持ち回り契約」、昨今民法改正でクローズアップされている③「契約不適合責任」、リゾートマンション等の④「負動産」などに関して触れられています。
①「狭小住宅」とは敷地面積の小さな土地に建てられた建物のことをいいます。
狭小住宅購入時の注意点は、ズバリ、住宅ローンの審査に通りにくいことです。
金融機関によって制限は異なりますが、おおよそ60㎡(約18坪)が目安で、それ以下の敷地面積だと住宅ローンの審査に通りにくいと言われています。
よって、建物を建築する前に、住宅ローンについて相談することが必要です。
②「持ち回り契約」とはいったいどんな時に行われるのでしょうか?
不動産の売買契約を行うときには、売主、買主、不動産仲介業者の関係当事者が同席するのが一般的です。
しかし、何らかの事情で一方もしくは双方が同席できない場合に、持ち回り契約が行われます。
たとえば買主が外国に住んでいるなど、売主と買主が遠く離れた場所に住んでいる時などに行われます。
「持ち回り契約」は、まず仲介業者が売主に説明し、売主が書面に記名・押印。
それから、次に仲介業者が買主に説明し、買主が書面に記名・押印。
これらの順番は逆でも構いません。
簡単に言うと、売主と買主が売買契約締結時に同席しない契約ですね。
③むむっ、「契約不適合責任」? なんだか聞きなれない用語ですよね?
解説すると、「契約不適合責任」とは、納品された目的物に契約内容と異なる点があることが判明したときに、売主が負担する責任のことをいいます。
④ところで、本書では「負動産」として越後湯沢のリゾートマンションが取り上げられていますが、リゾート地の不動産は、所有リスクが大きいと私は考えます。
なぜなら、リゾート地の不動産はもとより、東京や大阪といった大都市圏とくらべて、マーケットの規模がはるかに小さいからです。
マーケット規模が小さいということは、大きく価格変動しやすくなります。
言い換えると、取引数の分母が小さければ、一つ一つの取引が全体の平均価格に大きく影響をおよぼすことになるということです。
結論として、そのリゾート地の人気があるときには不動産はバブル価格になり、かたやブームが終焉したあとには不動産のバブルがはじけて、下落リスクが顕在化することになります。
さらに、不動産は所有しているだけでも固定資産税、都市計画税を支払わなければなりません。
それが分譲マンションであれば、固定資産税、都市計画税にくわえて、管理費・修繕積立金もかかります。
資産として「不動産」を購入したつもりが、お荷物の「負動産」になってしまったのでは笑えませんね。
「正直不動産」のススメ
一般の人々にとって住宅購入は購入金額も大きく、一世一代のお買い物!
だから、たとえ平素よりせっせと倹約に励んでいたとしても、不動産のように大きな買い物のときにドーンと失敗してしまうと、ふだんの節約も水の泡に。。。なんてことも。
不動産取引において失敗しないために、不動産業界を知るところから始めてみませんか?
『正直不動産』シリーズは不動産業者の本音をうまく描いたマンガなので、みなさんの不動産購入の参考になるかと思います。